意識高くないゆとり

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【感想】オプティミストはなぜ成功するのか【ポジティブ心理学入門つまりは楽観主義者のすゝめ】

先日読んだ本の中で、「ポジティブ心理学」というものがありました。精神疾患を治すためというより、人生をよりよくする目的のための心理学、といった感じだそうです。

ということで、その本を読んでから「ポジティブ心理学」というものを詳しく知りたいと思い次に読んだ本が、「オプティミストはなぜ成功するのか」という本です。

オプティミストとは、「楽観主義者」のこと。対義語としてペシミスト、「悲観主義者」があります。悲観主義者と楽観主義者を比べてみると、楽観主義者の方が様々な分野において良い結果を収めやすい、ということが様々な事例と共に説明されています。

非常に胡散臭いタイトルの本ですが本当に面白い一冊でした。楽観主義者とはどのようなものか、ということも含めて様々な発見があります。

 楽観主義とは?

楽観主義者は成功する、とこの本は述べていますが、まず楽観主義とはどのような考え方をするのでしょうか。

この本では、物事を自分にどう説明するのかという「説明スタイル」の違いによって楽観主義と悲観主義を区分けしています。何かあったとき、それを自分に対してどう言い聞かせるのか、と考えるとわかりやすいですね。

この説明スタイルにおいて「①永続性」「②普遍性」「③個人度」の三つの面で差が出てきます。

①永続性とは

何か悪い出来事が起きたとき、悪いことは続くとか、いつも不幸だといった方向に考えるのか、一時的なものだと考えるかで大きく差が出るそうです。悲観的な人は悪いことはいつまでも続くと考え、楽観的な人は悪いことは一時的なものだと考える違いがあります。

例えば、配偶者の誕生日を忘れた説明として「ほかのことでいろいろ忙しかったせいだ」ではなく「私は誕生日を覚えているのが苦手なのだ」を選んだとすれば、より永続的で悲観的なスタイルであることになる。 

こういった具体例も本文中にはあげられています。

次に、良い出来事が起きたときを見てみましょう。

良い出来事が起きたとき、楽観的な人はいつも自分がついているといった形で捉えて、悲観的な人はたまたま自分がついていた、と捉えるそうです。これは過信につながるのでは、傲慢になるのではと感じるかもしれませんが、本文では 

良い出来事には永続的な理由があると信じている人々は、成功したあともさらに一生懸命努力する。良い出来事が一時的な理由によるものと思っている人は、成功はまぐれだと決めつけて、たとえうまくいってもそれ以上はやろうとしないかもしれない。 

 と述べています。

非常に大雑把にまとめるなら、良いことは長く続き悪いことは一時的と捉える人が楽観主義といえます。

②普遍性とは

何か悪いことが起きたとき、その出来事以外でも同様にうまくいかないと考えるのか、その出来事に限定して判断するかで差が出るのがこの普遍性。本文で挙げられている例として、

「先生は皆不公平だ」「セリグマン教授は不公平だ」

「本は役に立たない」「この本は役に立たない」 

 という二つの例があります(セリグマン教授とは著者のこと)。一つの出来事から、それ以外のことまで併せてうまくいかないと考えるのが悲観主義、個別の出来事を特定の原因だと捉えるのが楽観主義と言えます。

良い出来事が起きれば、悲観主義者はそれが個別の原因にすぎないと考え、楽観主義者は他のこともうまくいくと考えます。

「私は数学がよくできる」「私はよくできる」

 こんな例が挙げられています。言うまでもなく、前者が悲観主義者で後者が楽観主義者です。

③個人度とは

出来事に対して、内向的な説明をするか外向的な説明をするかで違いが生まれます。楽観主義者は良い出来事を内向的に、悪い出来事を外向的に説明しますし、悲観主義者は逆となります。

例えばスポーツでうまくいったとき、自分のおかげ(内向的)だと考えるかチームメイトのおかげ(外向的)だと考えるかで差が出てきます。良いことは自分のおかげ、悪いことは他人のせいだというのが楽観主義者だということですね。

 こうやって聞くと、非常に無責任な人間になるべきだと主張しているように感じますよね。私自身もムムッと感じました。ただ、それに対して著者は丁寧に説明しています。

さらにもっと深い問題もある。そもそも人はなぜ自分の失敗の責任を取るべきなのか、ということだ。その答えは、自分の悪い点は改めるべきだからだ。〜中略〜 人が変わるためには、内向性はさほど重要ではない。大事なのは永続性だ。もし失敗の原因が永続的なもの-–-愚かさ、才能のなさ、醜さ-–-だと思っていれば、変えるための行動を起こす気にはならない。しかし、原因が一時的なもの-–-意欲のなさ、努力不足、太り過ぎ-–-だと信じれば、変える努力ができる。

このように著者は個人度よりも永続性が反省において重要であると考えています。

診断テストをやってみた 

ということで、楽観主義者と悲観主義者がどのようなものかわかりました。この本が素敵なのは診断するテストが付いているという点です。自分自身はなかなか楽観的だろうと思いやってみたんですが、めちゃくちゃ悲観主義者でした…。

これはぜひみなさんやってみてほしいです。よくある性格診断テストは「これはこう答えたらこう言う結果になるんやろ」と想像しやすいものですが、この本に収録してあるテストはなかなか予想がつきません。自分はめちゃくちゃ予想外な結果になりました。

無気力になる人の特徴

さて、この本では無気力になる人間は悲観主義者であるという点に加え、もう一つの特徴を持っていると述べています。その特徴というのが、悪い出来事を「反芻する」というもの。

嫌な出来事があると、後々それを思い出してさらに嫌な気持ちになる、ということありませんか? そうやって悪いことを繰り返し考えてしまうことでどんどんと鬱状態になっていくそうです。言われてみれば思い出してはヘコむ、ということを自分はよくしています…。

これについても対処法が示されており、

①気をそらす

他のものへ意識を移すようにするとか、後で考える時間を設定することで、今の自分の意識から悪い出来事を追い払うことがでいます。

②反論する

自分自身に反論をしてあげることが有効です。悪い出来事を反芻しているとき、それを根拠なく「永続的に悪いことである」ととらえたり、「原因は全て自分にある」と考えてしまっていることが多くあります。それを一つ一つ冷静に反論してあげることで少しずつ前向きになれるそうです。

これは自分でも大事にしようと思いました。

教育現場において感じる無気力な子供については以下の記事をご覧ください。 

www.ishikihikuiyutori.com

 まとめ

本文では楽観主義者、オプテイミストがいかに成功を掴んでいるのか、ということを様々な事例によって紹介しています。そして、いかに自分自身を楽観主義者へと切り替えるか、その方法まで細かく紹介されています。

もちろん悲観主義にも現状を正確に認識できるといったメリットがあることも示されています。ただ、重要なのは無為に悲観的にならず切り替えをしていくこと、そのためにもその手段を知っておくことは有用だと感じます。

胡散臭いタイトルで薄っぺらいビジネス本の雰囲気が漂っていますが、モチベーションに関する本ではだいたい出てくる「学習性無力感」、この本の著者はまさにこれを提唱した学者であり、前向きな行動をするためにやる気が出ないという人には必読です。

ポジティブ心理学に関心を持つきっかけになった本については以下の記事をご覧ください。

www.ishikihikuiyutori.com