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【ジブリ作品】「海が聞こえる」の何が素晴らしいのか語りたい【ちょっと地味】

ジブリ作品の人気は未だ衰えずですが、その作品の中でも存在感の薄い作品が、「海が聞こえる」です。

ジブリ作品において、宮崎駿監督と高畑勲監督が関わっていない作品は少ないですが、その中の一つで、劇場アニメではなくテレビアニメーションとして制作されました。

この作品の評価を見ると、ヒロインがウザいとか、物語が地味とか、ヒロインがウザいとか、とか…。

あんまり評判がよろしくないのですが、他のジブリ作品にはない魅力を持つ作品となっています。

 

・キャラクターの素晴らしさ

ジブリ作品のキャラクターは、基本的に信念というか、明確な行動基準を持っています。

もののけ姫におけるエボシは、人のために良きタタラ場を作るという思い。

ゴンザはエボシという人そのものを価値基準にする。

天空の城ラピュタでのムスカはラピュタの王となる絶対の目的のため、できることはどんなことでもする。

様々なキャラクターがブレずに行動をしますが、海が聞こえるのヒロイン武藤里伽子は非常に気分屋です。

そして、それを取り囲むクラスメイトも同様です。

このキャラクターの生々しさが身近に感じさせてくれます。

恋物語でいうと、「耳をすませば」と比較されることがありますが、耳すまが善意のみで構成されている世界であり(それが魅力でもありますが…)、それに対して海が聞こえるでは無意識な悪意、善意をキャラクターが併せ持っているため、より身近な物語と感じられます。

・キャラクターの多面性と現実感からくる懐かしさ

この作品を見ると、多くの人が懐かしさ、思春期のころのくすぐったいような気持ちを思い出すと思います。

別にハワイに修学旅行に行っていなくても、地方在住じゃなくても、どこか懐かしさを感じることができます。

これはこの物語の持つキャラクター性が影響していると考えられます。

また、回想劇にすることで時間の幅を持たせているため、2時間に満たない作品でもエピソードが豊富で、これがキャラクターを多面的に描かれることにつながっています。

キャラクターの善性、悪性のみを描いていないために、ヒロイン不人気とか個性がないと感じることもあるかもしれません。

ただ、他の作品より「人間らしさ」を感じさせてくれるのではないでしょうか。

ジブリ作品、特に宮崎駿作品は理想を描くのに対し、この作品は現実を丁寧に、少しだけ前向きに描いた作品だと思います。

 

美しい街並みの描写、優しい音楽と他にも様々な魅力溢れる作品ですので、ぜひご覧ください。