【考察】「ミスティック・リバー」に田舎の苦しみを知った
大変ありがたいことにamazon primeで無料で見れたため、「ミスティック・リバー」という映画を見ました。
大変に重苦しい内容の映画ですが、見応えのある映画でした。
というか、重い…。
【ミスティック・リバー】
【上映時間】138分
【公開】2003年
【監督】クリント・イーストウッド
【脚本】ブライアン・ヘルゲランド
【出演】ショーン・ペン、ティム・ロビンス、ケヴィン・ベーコン
【あらすじ】
ジミー、デイブ、ショーンの3人の少年たちが路上で遊んでいると、警官を装った誘拐犯が現れデイブだけを連れ去り、監禁し陵辱する。それから25年後、ジミー(ショーン・ペン)の愛娘が殺害され、刑事となっショーン(ケヴィン・ベーコン)が捜査にあたり……。(シネマトゥデイ)
田舎の閉塞感とリリィ・シュシュのすべて
ミスティック・リバーを見て最初に思ったのが、デイブ引っ越せよ、ということ。
あらすじを見ればわかりますが、デイブは幼い日に連れ去られ、凌辱されたわけです。
そのような思い出したくないような思い出の地から、25年間脱出することができていない閉塞感、行き場のなさ。
そして、一つの事件をきっかけに地元で遊んでいた3人が揃う世界の狭さ。
作品中でも言及されますが、デイブは地元で低所得の人間として生活をしています。
ジミーは犯罪に走り収監経験を持っています。
暴力によって現状に立ち向かうのか、現状を受け入れてトラウマの地で貧しく暮らしていくのか。
ショーンは刑事として活躍するようになっていますが、3人組のうち2人は田舎の閉塞感に絡め取られているように感じました。
さらには、ジミーの妻とデイブの妻は従姉妹であるというのも逃げ場のなさを感じさせます。
視聴後なんとなく思い出したのが「リリィ・シュシュのすべて」。
こちらは日本の映画ですが、抜け出せない田舎の閉塞感を強く感じさせる物語だと思います。
現実は厳しく、そこから抜け出すことが難しい。
リリィ・シュシュのすべてはあくまで青春時代、少年少女の物語ですが、この時の傷を持ったまま大人になった姿がミスティック・リバーに見えてきます。
物語のテーマとしては両作品とも違う方向ではありますが、「田舎の閉塞感」という共通点を感じさせます。
ぜひ合わせて見てほしいです。
田舎というものは生まれ育つ場所であり、一人一人の過去そのものであり、ミスティック・リバーはそれに苦しめられる人間のドラマだと感じました。
初めて見るとサスペンスとして見ることができると思います。
ただ、実際はサスペンス、推理ものというより人間ドラマですね。
デイブがトラウマを吐露するシーンが一見するとミスリードのように見えますが、二度三度と見る中で見え方が変わってくると思います。
ということで、時間があればまた見てみたい、繰り返し見る価値がある映画ではないでしょうか。
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